風を感じる女性

夏も終わる。そのさきにはきっと涼しい季節が待っている。冬には「早く暖かくなってほしい」と願い、いざ夏になると「涼しくならないかな」と思うのは、人間の性だろう。

伊豆の海はいつもギラギラしているのに、それでいて季節の変化を感じる海だ。いつもの漁船、いつもの空気、そして匂い。ありきたりの日常の中に自分らしい瞬間を感じることができるのだろう。

被写体をお願いした込堂なみさんはとてもその空気感に合っている。一見「かわいい」のだが、大人に変わっていくそんな瞬間を感じる撮影だった。そして、そんな貴重なタイミングに出合えたことをとても感謝したい。女性は少しずつ、けれど、確実に変わっていく。その変化に魅了されることもあれば、戸惑いを感じたりすることもある。

込堂さんの人を引きつける空気感、そして女優として頑張っていくと決めた決意、そういうものが瞬間瞬間交差する。そういう緊張感のある撮影はとても楽しいが、こちらもついついチカラが入る。

「セカイカン」そんな言葉を使うと少しくすぐったいが、彼女には独特なセカイカンがあるのだ。

西伊豆の風に乗って、そのセカイを味わえた一日。とても贅沢だ。

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